ヘッジファンドの基本的なこと

比較で簡単にわかる!ヘッジファンドと投資信託の違いとは

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ヘッジファンドと投資信託

資産運用をしている人の間で注目のものに「ヘッジファンド」がありますが、元々富裕層や資産家、機関投資家などを主な顧客としていたため、その仕組みはまだあまりきちんと認知されていません。

Aさん
Aさん
ヘッジファンドって実はよくわからない!

 

そこで、今回はヘッジファンドについて理解を深めるためにも、よく類似商品として勘違いされる「投資信託」と比較しながら考えていきたいと思います

代表的な投資信託である「eMAXIS」と、ヘッジファンド「BMキャピタル」を例に見ていきましょう。

 

また、一般的な投資信託だけでなく、ここでは「独立系・直販型投信」とも言われている、第三のファンドとして「セゾン投信」と「ひふみ投信」も合わせて比較していきましょう。

 

eMAXIS

名称 eMAXIS TOPIXインデックス
委託会社 三菱UFJ国際投信株式会社
受託会社 三菱UFJ信託銀行株式会社

 

BMキャピタル

分類 ヘッジファンド
会社名 ビーエムシー合同会社
英名 BMC LLC
事業目的 (1)金融商品取引法に基づく有価証券及びデリバティブ取引
(2)各種事業への投資
(3)有価証券の自己募集
(4)経営コンサルティング業務
(5)前各号に附帯する一切の業務

 

セゾン投信

分類 投資信託
ファンド名称 セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
受託会社 セゾン投信株式会社
委託会社 野村信託銀行株式会社
つみたてNISA

※セゾンが扱う投資信託は他にもありますが、ここでは「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」のみに絞って見ていきます。

 

ひふみ投信

分類 独立系投信・独立型ファンド(第三のファンド)
ファンド名称 ひふみ投信
委託会社 レオス・キャピタルワークス株式会社
受託会社 三井住友信託銀行株式会社

※ひふみ(レオス)が扱う投資信託は他にもありますが、ここでは「ひふみ投信」のみに絞って見ていきます。

 

[徹底比較]三者三様のポイント比較

eMAXIS(投資信託)、BMキャピタル(ヘッジファンド)、セゾン投信・ひふみ投信(第三のファンド)について考えていくにあたって以下の3つのポイントで比較していきましょう。

  • 運用の仕方、パフォーマンス
  • 手数料
  • 投資金額、募集方法

 

さとる
さとる
「投資」というと、「どっちの方がリターンが大きいのか、どちらの方が儲かるのか」が気になってしまう人が多いですが、そもそもどういった目的で設立され、どのような仕組みで運用されるのかをきちんと理解しなければ、表面の数字だけを追っても意味がありません。

 

そのファンドの本質をきちんと見分けなければ、資産運用の目的に応じた適切な投資先を判断することはできません。

 

運用の仕方・パフォーマンス

eMAXISの場合

投資信託である「eMAXIS」はTOPIX(東証株価指数)の値動きに連動する投資成果を目指して運用されます。

さとる
さとる
実際に、TOPIXに連動するかどうかについては、あまり議論の余地はなく、ほぼほぼベンチマークに連動した成果が期待できるものとして考えて問題ありません。

参考:eMAXIS TOPIXインデックス投資信託説明書(交付目論見書) 2022.4.26

 

ここで重要なのは、eMAXISは運用の成果によってプラスのリターン(利益)が得られるかどうかを言及していない点です。

 

つまり、投資信託(eMAXIS)は「資産を増やすために投資するもの」ではなく、TOPIXに投資したら増えると考えている人が手段として投資するものになります。

 

そのため、運用のパフォーマンスはある程度市況に左右されることになります。

eMAXISのようにマクロ指標に投資している銘柄の場合、コロナショックやリーマンショックの時のような恐慌時には大きくマイナスになるリスクがあるため、常に経済動向に注意が必要です。

 

一方のヘッジファンドや独立系・直販型のファンドは、運用によって成果を得る=資産を増やすことが目的であり、運用の方法ではなく「成果(リターン)」が優先されます。

 

BMキャピタルの場合

BMキャピタルの場合は「資産を守りながら堅実に増やす」という投資哲学の元、その手段として「バリュー投資」を軸に運用しています。

参考:BM CAPITAL

バリュー投資とは

バリュー投資は、会社の価値(value)に着目する投資手法です。

資産価値と株価を比較し、割安な銘柄に投資することで値下がりするリスクを抑えた安定的な運用に強みがあります。

企業分析などに手間や時間がかかり、専門的な知見が必要になる一方で、堅実な成果を出すのに適しています。

ちなみにこの「バリュー投資」は、数あるヘッジファンドの投資手法の中でも、最もリスクに対するリターンが高いというデータもあります(※2022年4月時点直近1年)

参考:ヘッジファンド概況(2022年4月)

 

セゾン投信の場合

セゾン投信は、リスクを抑えながら安定したリターンの獲得を目指して、原則「株式50%:債券50%」で世界中の株式・債券に国際分散投資をしています。

インデックスファンドを通じて世界の株式と債券に分散投資します

  1. 資産配分比率は株式50%、債券50%
  2. 国際分散投資
  3. 低コストのインデックスファンドに投資
  4. 原則として為替ヘッジは行いません。

引用:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド | ファンド・プランの紹介|つみたてNISA(積立NISA)・積立投資ならセゾン投信

 

ひふみ投信の場合

また、ひふみ投信の場合「独自に発掘した成長企業」を投資対象としつつ、「相場の上下にハラハラしない守りながら増やす運用」を目指すとしています。

参考:商品概要 | ひふみ投信 | ひふみ

 

それどころか、社長兼CIO(最高投資責任者)である、藤野英人氏のインタビューを見てみると

「ひふみ」は、とても多様な顔を持っています。超小型株から大型株まで組み入れられているし、成長株か割安株か、という枠にもとらわれていません。長期でじっくり保有する銘柄もあれば、マーケットに合わせて短期で売買する銘柄もあるし、現金比率も大きく動かすこともあります。また、海外株への投資も本格的にスタートしています。

【公式】ひふみ投信 – 資産形成 × 未来形成 どちらも叶える投資信託

とあります。

 

BMキャピタルやセゾン、ひふみ投信のように、独立しているファンドは「資産を増やす」という運用の本質を重視し、様々な投資手法(バリュー投資、成長企業 etc.)はあくまでもそれを実現するための手段でしかありません。

 

そのため、ヘッジファンドの場合、基本的に市況(マクロ)に左右されない成果が期待できます。

暴落時でも、運用手法やポートフォリオを調整(ex. 空売りをする、現金比率を増やすなど)して、いかなる状況でも安定した成果を追求します。

 

投資が目的なのか手段なのか、投資信託とヘッジファンド・第三のファンドでは大きな違いがあります。

eMAXIS
(投資信託)
セゾン、ひふみ投信
(独立系・第三のファンド)
BMキャピタル
(ヘッジファンド)
運用の仕方 運用することが目的。
結果はついてくるもの。
結果を出すことが目的。
各社ごとの運用手法はあくまでも手段。
パフォーマンス 市況に左右されやすい。
マクロに注意が必要。
市況に左右されにくい成果が期待できる。

 

手数料

手数料についても「高いor 安い」ではなく、その仕組みから性質を考えてみましょう。

 

運用すること自体が目的の投資信託(eMAXIS)の手数料は、運用管理費用(信託報酬)のみです。購入時手数料も信託財産留保額(解約手数料)もありません。

 

一方で、運用の成果・リターンを追求しているヘッジファンド(BMキャピタル)では、購入時手数料や信託報酬とは別に「成果報酬」が課されます。

さとる
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ヘッジファンドは、運用すること自体(信託報酬)にも最低限の価値はあるもののその本質はパフォーマンス(成果)にあります。
そのため、その結果に応じて報酬が課される「成果報酬」が採用されています。

 

なお、独立系のファンドである「セゾン」と「ひふみ投信」は、運用の手法こそヘッジファンド寄りですが、手数料体型は投資信託(eMAXIS)と同じような構造です。

さとる
さとる
これは、運用の手法・目的ではなく、募集の方法・条件を投資信託に寄せることで巨額の資金を調達し、十分な収入を既に確保しているためです。
これにより、手数料の比率を抑えさらなる資金調達に拍車をかけることを目的としています。詳しくは、「募集方法」の章で解説します。
eMAXIS
(投資信託)
セゾン、ひふみ投信
(独立系・第三のファンド)
BMキャピタル
(ヘッジファンド)
購入時手数料 × ×
運用管理費用
(信託報酬)
成果報酬 × ×
信託財産留保額
(解約手数料)
×
(セゾンのみ0.1%)

 

成果報酬は悪なのか?

上の表を見ながら比較すると、ヘッジファンドにのみ成果報酬が課されており、手数料が高く設定されているため、それだけで嫌厭する人もいます。

 

ですが、成果報酬はファンドの運用・パフォーマンスに対する適切な報酬であり、これがあることで運用の健全性やトレーダーの質が担保されるのです。

むしろ、運用成果に対してなんのインセンティブのない投資信託や独立系のセゾンやひふみ投信は、ファンド側は資金を集める以上のインセンティブがありません。

 

詳しくは『ヘッジファンドが強い3つの理由とは!?ファンドを選ぶときに投資家が考えておくべきポイント』でも言及しているので、興味がある人はぜひ参考にしてください。

 

募集方法・投資金額

投資信託の場合

投資信託は基本的に、様々な銀行や証券会社を通じて誰でも簡単に購入することができます。

広く公に募集している分、情報開示も徹底されており、インターネットで検索すれば、過去のレポートも含めて誰でも内容を確認することができ、具体的な投資先ファンドの比率や基準価格の推移などが全てを知ることができます。

 

口座を開設していれば誰でも投資ができるため、投資家に対しての間口も広く取られており、100円から投資可能です。

 

誰でも簡単に投資ができ、また宣伝・広報活動が認められている一方で、運用については様々な制限があります。

ex. 空売りなどのディバティブ投資が制限されていたり、特定の投資先にポートフォリオが偏りすぎてリスク過多にならないようになど

 

ヘッジファンドの場合

一方のヘッジファンドの場合、証券会社などでは購入することができず、ファンドに直接問い合わせて契約を結ぶ(出資する)必要があります。

さとる
さとる
ヘッジファンドは「私募」として、自社でのみの募集をおこなっており、大々的な広告・広報活動などをしていません。
ヘッジファンドは、運用での成果を追求するために、募集の方法が限定されてでも、より自由で柔軟な運用が許されている自社での募集を続けるのです。

 

募集に制限がある分、お客さん(投資家)の数は限定されるため、投資のハードルも高く「最低1,000万円から(海外だと1億)といった条件が設定されていることも珍しくはありません。

 

また、ヘッジファンドの場合、情報公開の義務もないため、HPなどを見ても過去の実績や現在のポートフォリオなどを知ることはできません。

なぜヘッジファンドは情報を全公開しないのか

運用の成果(パフォーマンス)に全てが懸かっているヘッジファンドにおいて、自社の根幹でもあるポートフォリオを完全公開することなどありえません。

 

とはいえ、一切情報がなければ投資家を集めることもできません。

公には発信されていませんが、資料請求した人や見込み顧客のみに共有されている資料やデータなどはあるのが一般的です。

また、以下の記事で調査しているように、一部大量保有報告書などを介して投資の実態を確認することもできます。

bmc-existence
BMキャピタルは本当に運用しているのか?実態を徹底検証BMキャピタルについて考える 今回は、注目ファンドであるBMキャピタル(BM CAPITAL)について、このファンドが本当にきちんと運...

 

興味のあるファンドについては、積極的に問い合わせて情報収集することをおすすめします。

 

第三のファンドの場合

セゾンやひふみ投信のような自社で直販している(それぞれで口座開設する)タイプの第三のファンドは、元々ヘッジファンドに近い存在でした。

ですが、直販型のファンドは、運用によって成果を出すことを目的としていたにも関わらず、大々的な募集・広報をしています

 

これは、運用の制限を受け入れ、レポーティングの手間やコストを支払うことで、投資家の間口を広げようとしたためです。結果としてより多くの資金を集めることに成功しています。

セゾンの場合、月々5,000円から1,000円単位の積み立て、10,000円から1円単位のスポット購入が可能で、ひふみ投信は1,000円から購入(投資)することができます。

ひふみ投信の場合は、「ひふみプラス」としてさらに証券化し完全に投資信託と同じように証券会社の口座から購入できるオプションまで用意されています。

 

募集方法・投資金額のまとめ

eMAXIS
(投資信託)
セゾン、ひふみ投信
(独立系・第三のファンド)
BMキャピタル
(ヘッジファンド)
募集 公募 公募 私募
運用制限 制限あり 制限あり 制限なし
情報公開 公開 公開 一部のみ
窓口 証券会社 自社(一部、証券会社) 自社のみ
最低金額 100円 5,000円(セゾン)
1,000円(ひふみ)
1,000万円

 

おすすめ投資タイプ

ここまで見てきた内容をまとめると以下のようになります。

eMAXIS
(投資信託)
セゾン、ひふみ投信
(独立系・第三のファンド)
BMキャピタル
(ヘッジファンド)
運用の仕方 運用することが目的
結果はついてくるもの
結果を出すことが目的
各社ごとの運用手法はあくまでも手段
パフォーマンス 市況に左右されやすい
マクロに注意が必要
市況に左右されにくい成果が期待できる
購入時手数料 × ×
運用管理費用
(信託報酬)
成果報酬 ×
信託財産留保額
(解約手数料)
×
募集 公募 私募
運用制限 制限あり 制限なし
情報公開 公開 一部のみ
窓口 証券会社 自社(一部、証券会社) 自社のみ
最低金額 100円 5,000円(セゾン)
1,000円(ひふみ)
1,000万円

 

表面的な数字や募集の間口ばかりを見ていると、ついつい投資信託の方が一般的で広くたくさんの投資家に向けられたものであり、ヘッジファンドはある程度業界に精通した人たちを対象にしているように見えてしまいます。

 

ですが、より本質的に考えると、投資信託は、間接的にベンチマークや特定の地域などに投資できるあくまでも「仕組み」であり、どの銘柄(投信)をどんなタイミングで売買するかは投資家自身が自分で考えて判断しなければいけません。

少額から始められるからといって投資に詳しくない初心者が安易に手を出すと思わぬ損失を被ることになります。

実は、投資信託は、あくまでも株式投資の延長(オプション)に過ぎず、むしろ玄人向けです。

 

一方のヘッジファンドですが、最低金額は高く、ある程度の資金力がある人にしか手が出せないものの、運用に関しては投資のプロであるファンド(運用責任者)に一任でき、市況などを気にする必要もありません。

ある程度の手数料を支払うことにはなりますが、それ相応の質の高い運用成果・サービスが期待できるため、「投資に詳しくはないけど資金はある」という初心者にこそおすすめできます。

 

手数料や最低金額などのパッと見の数字だけから安易に判断すると、自分自身にとって適切な投資先を見極めることができず、不必要な損失を被ったり、資産形成の機会を失いかねません。

 

特に、まとまった資産を運用したいと考えている(けれど、詳しいことがよくわからない、自信がない)という初心者の方たちこそ、ヘッジファンドのような、馴染みはなくとも質の高いサービスを活用するべきだと考えます。

これを機に、ぜひ様々なファンドに目を向け、少しでも気になるところには積極的に連絡してみることをおすすめします。

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