資産運用の基礎知識と注意点

初心者でもわかる投資信託|仕組みやメリットデメリット・他の投資との比較

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投資初心者の方によくオススメされる投資手法の一つ「投資信託」。

投資信託は日々の管理や面倒な手続きがほとんど不要で、少額からの投資が可能な点や長期間の運用が継続しやすい点なども含め、選び方さえ間違えなければ、様々なメリットのある投資手法です。

 

一方で、完璧な投資手法はありません。手軽さ故の手数料コストや、投資判断の難しさなど、様々なデメリットがあるため、注意も必要です。

 

当記事では投資初心者の方々に向けて、投資信託の基本、投資信託のメリット・デメリット、他の投資・運用手法との比較、投資信託の始め方などをわかりやすく解説していきます。

 

「投資信託を始められる」スタート地点に立てるように、ご紹介をできればと思いますので、ぜひ今後のご参考にしてみてくださいね。

1分でわかる、投資信託のまとめ

<投資信託とは>

投資信託は大手金融機関が個人投資家から資金を集めるための仕組み(=証券)です。

その金融機関は集めた資金を、株式・債券・不動産などに投資し、その投資成果を「投資信託」を購入した人たちに分配します。投資信託によって投資先や銘柄は様々です。

 

<投資信託はこんな人にオススメ>

特におすすめなのは「個人としては投資しづらい、海外市場に投資をしたい」など特定の目的を持って投資をしたい人です。

その他、数千円、数万円といった、小さい額から投資を初めてみたい人にもオススメできる商品です。

投資信託とは

投資や資産運用を考えるにあたって、ニュースやSNSなどで「投資信託」の話を目にすることも多いのではないでしょうか。

日本全体でも投資信託に投資されるお金は増加しており、投資信託の注目度の高さが伺えます。

2023年3月時点のデータでは、投資信託は14,000本以上あり、その純資産総額は290兆円を超えています。

参考:投資信託の全体像(純資産総額・ファンド本数)直近データのバックナンバー – 投資信託協会

しかし当然、投資先を考える際には「投資信託なら何でもよい」というわけではありません。

自分が投資を行う際には、それぞれの商品について、しっかりと内容を吟味し、他の投資方法ともよく比較して慎重に選ぶ必要があります。

 

ここでは、まず前提として、投資信託の仕組みについて学んでいきましょう。

投資信託は大手金融機関が個人投資家から資金を集めるための仕組み(=証券)です。

金融機関は「投資信託」を売り出して、個人投資家から資金を集めます。その金融機関は集めた資金を、株式・債券・不動産などに投資し、運用します。投資信託によって投資先や銘柄は様々です。

出典:投資信託の仕組み – 投資信託協会

 

「投資信託」を購入した人たちに対しては、その投資成果に応じて、分配金などの形で利益を分配するということを行っています。

注意すべきポイントは「投資成果に応じて」という部分です。

投資信託は、みなさんが良く知っている大手金融機関の商品も多く、それなりに信頼のできるプランでの運用を行っています。しかし、投資に絶対はありません。

利益が出れば、それだけのリターンを得られますが、投資信託が失敗すれば、私たちが預けている資産額が減ってしまうことも。リスクが全くゼロになることはありません。

投資信託のメリットやデメリットについて、もうすこし詳細まで確認をしてみましょう。

 

投資信託のメリット/デメリット

投資信託のメリット

少額からの投資が可能

投資信託は少額での購入が可能な投資方法です。多くの投資家からお金を集めて運用している方法なので、一人あたりの投資資金は少なくても問題ありません。

株式投資などでは、数万円〜数十万円以上が初期費用として必要になることもありますが、投資信託なら100円からでも購入できるケースもあります。

投資信託には、国債購入や預貯金の積立などよりも安い金額で始められ、初心者の方でも始めやすいというメリットがあります。

 

自動で分散投資

投資においては、分散投資でリスクを抑えながら投資を継続することが基本とされています。

 

しかし、個人で分散投資を行おうと思うと、思いの外大変です。

そもそも、分散投資を行うために複数の投資を行おうと思うと、それだけリサーチが必要です。株式/債券/不動産などを組み込もうと思うと、それぞれの商品について、それだけ詳しくなくてはいけません。

また、一定の費用も必要です。投資単価の高い株式投資であれば、複数の投資先に分散投資を行おうと思うと、数十万円単位の費用がかかります。

投資信託は、テーマごとに複数の銘柄に分散して投資されています。ものによっては、株式だけでなく、債券や不動産も組み込んでいるものもあります。

投資信託を利用すれば、分散投資を気軽に行えるというのも非常に大きなメリットです。

 

不動産や先物, 外国や新興国の金融商品など様々な投資が可能

投資信託は、株式に投資しているものだけではありません。

ブラジルやインドなどの成長が著しい新興国への投資や、穀物・原油などのコモディティと呼ばれる商品、不動産投資などを対象にした投資信託もあるため、そういったものに投資をすることができます。

 

新興国投資などは、可能性が大きいと言われながらもなかなか難しい領域。例えば「ブラジルの株式投資」をしたいと思っても、どのブラジルの企業が優れているのかなどは、私たちにはわかりませんよね。

そのような個人ではなかなか手を出せないような市場やニッチな分野でも、投資信託という商品は、一定レベルのプランニングの元に設計されています。

「ここに投資をしたい!」という分野やテーマ、明確な目的がある人は、投資信託という手段を選んでみるのもおすすめです。

 

投資信託のデメリット

全体的に手数料コストが大きい

投資信託はこれまで見てきたように様々なメリットがあります。そのメリットの多くは、自ら株式や金融商品を購入しているわけではなく、金融機関に運用を委託しているからこそ得られるもの。

その対価として、手数料を支払うことになります。

主な手数料は購入時の手数料。また他にも、信託報酬、監査報酬、売買委託手数料、信託財産留保額などがあります。

 

また、投資信託によっては、販売している金融機関と運用している金融機関が違うことも。その場合、販売している金融機関は、運用している金融機関に対して委託料を支払っています。その委託料を負担する源泉となるのは、私たちの購入時手数料です。

 

こうした複雑な構造によって、手数料が割高になりやすいのも投資信託の大きなデメリット。特定の投資信託を保有した場合、どの程度の手数料がかかるのかといった点をしっかりと調べてから購入することが重要です。

これらの手数料については、全てを合計しても資産全体の年率1%前後に抑えられている投資信託を選ぶのがオススメです。

 

複雑化によって難易度が上がっている

投資信託を紹介する際に「知識が少なくても投資できる」という謳い文句が使われることがあります。しかし、一概にそうとも言い切れないのが、現状の投資信託です。

 

現在、日本で販売されている投資信託は公募のものでも約6000種類以上。もちろんある程度はテーマや種別に分けることが可能ですが、6000種類もの中から、自分にとって最適な投資先を探すのは簡単ではありません。

「とりあえず有名なものを」と手を出して、損を被ってしまう人もいます。

 

また、分配金などの仕組みに差異があり、違いがわかりづらいのもデメリットです。

分配金がもらえるというと、一見お得なように見えますが、基本的には「複利運用」の原則に反し、あまりおすすめできません。

そうした様々な複雑性があることを理解した上で、投資を行う必要があります。

 

元本割れする商品も存在する

大手金融機関の投資信託というと、信頼できそうなイメージがありますよね。でも、運用が失敗すれば当然、元本割れする投資信託もあります。

すでに元本割れした投資信託は、販売を中止して償還されているところもあります。投資信託は、預貯金のように元本保証がない、という点には十分に注意する必要があるでしょう。

 

また、元本割れする原因についてもよく勉強して知っておいてください。

例えば、投資していた銘柄の株価の下落、株式発行元の倒産、地域経済情勢の悪化など、原因となる事柄はさまざまです。

しかし、一時的に元本割れした投資信託も長期的な視野に立てば、将来は元に戻る可能性もあります。将来値段が上がる可能性があるなら、値段が下がったときに買い増しする方法もあります。一時的な元本割れがあっても、焦りは禁物。そのまま資産運用を継続したほうが良いケースもあります。

元本割れというリスクがあることは理解しておきながら、その時その時にうまく対応できるように心構えをしておきましょう。

 

投資信託と他の投資/運用手法の比較

ここまで、投資信託についての解説をしてきましたが、もちろん投資/資産運用の方法は投資信託だけではありません。

これから投資や資産運用を始めるにあたって、他の投資・運用手法についてもよく比較検討して納得したうえで投資信託を始めたほうがいいでしょう。

ここから先は、投資信託以外の他の投資・資産運用手法について簡単にまとめています。資産運用をするにあたって重要となるリスクとリターンの関係の考え方を元に分類しているので、投資先の検討の際の参考にしてみてください。

 

ローリスクローリターン

預貯金

預貯金は、必要となった際にすぐに引き出すことができるため、手元資金を蓄積しておくために重要なな手段です。収入がなくなったときのためにも数ヶ月〜1年程度の生活を担保できる残高はキープしておきたいところでしょう。

預貯金を「資産運用」として捉えている方はあまり多くないかもしれませんが、元本保証でありながら預金額に応じて利息がもらえる、ローリスクローリターンの立派な運用方法です。

しかし、利回りは非常に低く、お金を増やすための投資には不向きです。

あくまでも、手元の資金を賄うための資産として活用しましょう。

 

債券(国債・社債)

大きな資産を持っていて安全に運用したいのなら、元本割れリスクの少ない債券(国債/社債)を選びましょう。

利率はあまり高くはありませんが、預貯金などよりは利率が高く、価格上昇が期待できます。

債券投資は発行体である国や企業が破綻せず、満期まで保有していれば額面の金額が償還されるため、ほぼ・・元本保証の運用として扱われることが多いです。

国が破綻するリスクは限りなく低くなっていますが、企業が発行する社債は倒産などで返済されないリスクも存在します。社債の購入にはある程度のまとまった金額が必要です。

 

ミドルリスクミドルリターン

不動産投資

不動産投資は「不動産物件を購入して、その物件を貸出、家賃を利益として受け取る投資方法」を指すことが多いです。

また、上記のような不動産投資を行っている主体に対して、多数の投資家が少しずつ資金を出し合って、利益も分け合う「不動産投資信託(REIT)」も、不動産投資に大別されますが、ここでは取り扱わず、後述します。

 

不動産投資は、ローンを使って不動産物件を購入すれば、まとまった資金がなくても不動産を購入して、そこから利益を得続けることが可能になるといったリターンがあります。

一方で、総額費用は高額になることや、空室・滞納・修繕・災害・金利上昇・価値下落など、運用における各種のリスクも存在します。

手軽に始めるには難しく、各種リスクのコントロールが必要ですので、投資や資産運用の中上級者向けです。

 

ETF, REIT

こちらは投資信託の一種です。投資信託と同様に少額での投資や海外への投資も可能です。

 

ETFは上場投資信託と呼ばれるもので、例えば日本であれば、日本を代表する上場企業を中心とした投資が行われる投資信託です。

REITは、不動産を対象にした投資信託です。不動産投資と異なる点は、投資家から集めた資金で不動産事業のプロが不動産を購入して家賃収入や売却益を投資家に分配する方式になっている点です。

数百万円かかるような不動産投資もREITなら数万円から手軽に始めることができます。

 

ハイリスクハイリターン

外国株・海外不動産

外国株や海外不動産は、大きな利益を狙う人におすすめできますが、初心者には不向きです。

世界に目を向けることで、将来大きな成長が期待できる国や銘柄に投資できます。世界中の株式や不動産が対象となり、国内株のリスク分散に組み込んで利用します。ただし、株価と為替のリスク、政情不安などのリスクがあります。

 

FX・先物取引

FXは、外国為替証拠金取引です。為替レートの変動を予想して通貨を売買し、利益を得る投資方法です。

手持ちの資金が少なくても利益が出せますが、逆に大きく損を出す可能性もあります。

為替レートの動きは予想しにくく、大きく損をすれば、追加でお金が必要です。先物取引は、実際の資金の10〜30倍の取引が可能ですが、ハイリスクハイリターンです。

ギャンブル性の高い投資方法でしょう。

 

投資信託の始め方

投資信託の基本的な知識を理解でき、他の投資や資産運用との比較もできたら、実際に投資信託を始めてみましょう。

口座開設ができれば、その後はネットやスマホアプリでの取引も可能となり、いつでも投資信託の売買が可能です。

 

銀行や証券会社から証券口座を開設

投資信託は、投資信託を取り扱う金融機関で口座を開設します。

オンライン証券なら、インターネットだけで手続きが完了します。

クレジットカードが利用できたり、積立ができたりするような使い勝手の良い証券会社を選ぶことがポイントです。

 

投資対象を決めて投資信託を購入

審査が厳しいわけではありませんので、証券口座そのものを開設するのは簡単です。

口座開設が完了したら、気になる投資信託をピックアップして、投資先を選びましょう。

 

投資信託を選ぶ際のポイントは、

  • 投資対象(株式や債券など)
  • 運用スタイル
  • 購入手数料
  • 信託報酬
  • 信託財産留保額

などです。これらの情報は、投資信託説明書(目論見書)で確認できます。

わかりにくい場合は、証券会社のサイトで銘柄の情報をピックアップし、よく比較して確認しましょう。

 

積立投資も活用

その都度購入するスタイルもありますが、少額でもお得な積立投資を準備している証券会社もあります。積立投資で安定して確実に資産を増やす方法も検討してみてください。

 

分配金とポートフォリオの見直し

決算日を迎えると投資信託によっては、分配金が支払われることがあります。

ただし、先ほども少し解説しましたが、資産運用の基本である「積立運用で複利で回す」というポイントを押さえるためにも、分配金をもらわない方がおすすめです。

運用報告書が交付されますので、よく確認してこれまでの運用成績と近い将来の業績予想を見て投資信託のポートフォリオの組み換えを行うべきかよく検討してください。

 

いつでも換金可能

長期運用すれば、複利効果によって資産が少しずつ増えていきますが、投資信託はいつでも換金(解約)が簡単にできます。

まとまった資金が必要なら、換金して目的の支払いに利用することができ、換金性も比較的高いので安心です。

 

投資信託についてのまとめ

この記事では投資初心者を対象として、投資信託についてわかりやすく解説してきました。

投資信託は、「個人としては投資しづらい、海外市場に投資をしたい」など特定の目的を持って投資をしたい人、また数千円、数万円といった、小さい額から投資を初めてみたい人にオススメできる商品です。

少額からでも投資をしているうちに、投資信託では物足りなくなって、さまざまな投資にも興味が出てくるでしょう。その頃には、投資の初心者を卒業し、投資や資産運用に関する中上級者になっているはずです。

ぜひ新しい投資の世界に飛び込んでいってください。