資産運用の基礎知識と注意点

損をしない投資方法はある?資産運用で大事なコツとポイントを解説

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損をしない投資の方法はあるのか

「銀行に預けているだけじゃほとんど利息もつかないし投資をしてみたい」
「知り合いが資産運用で順調にお金を増やしているようでうらやましい」

など、投資に興味がある一方で、やはりなかなか一歩が踏み出せない、投資に対して足踏みしてしまう一番の理由は「投資をしたら損をするかもしれない」という恐怖でしょう。

 

投資/資産運用でお金を増やしたいけれどできるだけ損をしたくないと考えるのは普通のことです。

損をしないで運用できる方法はないのかな、と考えたくなる気持ちもわかりますが、結論から言ってしまえば、世の中にある投資(金融商品)の中に、損をしないものはありません。

 

投資の世界の大原則 – リスクとリターン –

投資をする人が、必ず知っておかなければいけないリスクとリターンの関係の話があります。

先に結論を伝えてしまうとリスクとリターンはトレードオフです。

トレードオフということは、リスクが上がればリターンも上がるし、リスクが下がればリターンも下がるということです。

基本的にはローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンのため、ローリスク・ハイリターンというバランスの取れていない投資の方法はありません。

ローリスク・ローリターンの最たる例が「銀行預金」です。
銀行預金は預金残高(元本)が保証されているため、リスクがゼロですが、その分リターンもほぼゼロ(年0.01%以下)になっています。

 

[応用編]リスクとリターンと”流動性”?

リスクとリターンがトレードオフという話は有名ですが、実はもう一つトレードオフなものに資金の「流動性」があります。

流動性とは、資金をどの程度自由に動かせるかという尺度です。

ローリスク・ローリターンの例として銀行預金を挙げましたが、もう一つローリスク・ローリターンの例の中で代表的なものに「債券」があります。

債券は、国や企業が借入をするために発行する有価証券のことで、要は債券を買う(=投資する)ことで、発行体にお金を貸すことができます。

債券を発行している=お金を借りている発行体は、満期になったときに、当然借入金にあたる元本と利息を支払う必要があるため、元本保証の金融商品と言えます。

代表的な債券である、日本国債を見てみると「固定5(満期5年)」の金利は0.42%(※2023年11月時点)と、銀行金利の数十倍〜数百倍もの金利が設定されています。

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出典:現在募集中の個人向け国債・新窓販国債 : 財務省

同じ元本保証なのに、これほどまでに差があるのは、銀行預金と国債とでは流動性が異なるためです。

銀行の預金は、いつでもどこでも簡単に引き出すことができますが、債券の場合、元本を保証してもらうためには満期まで保有しなければいけません(※)

※債券も、株式と同様に市場価格で売買することもできます。その場合、元本は保証されず、金利や為替などの影響を受け市場価格で取引されます。

例えば、元本保証で運用しつつ5年もの国債の金利0.42%を受け取るためには、5年間債券を保有し続けなければならず、その間現金に戻すこともできなければ他の金融商品に変えることもできません。

このように、債券は流動性を下げることでリスクを上げずにリターンをあげているのです。

リスク 流動性 リターン
銀行預金 元本保証
※銀行が倒産するリスクあり
いつでも出し入れ可能 年0.002%
債券
(例:5年もの国債)
元本保証
※国が財政破綻(デフォルト)するリスクあり
満期まで保有
(5年間)
年0.42%
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損をしないと言われる金融商品のワナ

一方で、たまにオイシイ話として

「損をしないで確実に儲かる方法がある」
「元本保証で年〇〇%のリターンが確約されている」

などといった、損をしない投資話を耳にすることがあるかと思います。

「これに投資した人は全員儲かっている」「この方法なら間違いない必勝法だ」といったものも同類です。

 

元本保証なのに/ほぼ確実に儲かる話は、特に誰か(知人やSNSなど)からおすすめされたり紹介されたりするケースが大半ですがオイシイ話には注意が必要です。

ほとんどが情報商材か詐欺なのでリスクが無いことをうたう金融商品には近づかないことをおすすめします。

情報商材の場合、儲かりそうな雰囲気を出して高額なノウハウを売りつけてきます。実際に運用するのはあなた自身のため、失敗しても「自分のやり方がよくなかったのかな」となってしまいウソを見抜くことができません。

もっとヒドイ詐欺の場合、投資させておいて、実際には運用せずに資金を持って逃げられてしまいます。

そもそも、投資の募集をする/金融商品を販売する際には、リスクについて明示しなければいけません。

仮に元本保証で運用できるものがあるとすれば、銀行預金や債券のように年1%未満の利回りまでです。本来あるはずのリスクを隠している時点で近づかないようにしましょう。

 

投資をしなければ本当に損をしないのか?

投資に必ずリスクが伴う=損をする可能性があるのならやっぱり止めておこうと考えてしまう人もいるかもしれません。

確かに、銀行に預けていたり自分で現金で持っていれば見かけのお金は減りませんが、本当に損をしないのでしょうか?

実は、きちんと運用しないことは、実質的に損をしていることになりかねません。

銀行の預金残高が減っていないから、自分の手元にあるお金が減っていないからといって油断していませんか?

見かけの金額(額面)は変わらずとも、あなたの資産価値は減少していっています!

 

これには、モノの価格が上がる、つまりインフレが関係しています。

例えば、今まで100円で売られていたものが200円になった場合、同じ一万円で買える個数は100個から50個まで減ってしまいます。

インフレをあまり実感できていない人や、「日本でいまさらインフレなんて」と考えている人は注意が必要です。

昔はワンコイン(500円以下)ランチが当たり前にありましたが、今や都心のランチの基準は1000円前後です。自販機のジュースもいつのまにか100円で買えるものは少なくなり、130円や160円のものが当たり前になってしまいました。

ある日突然物価が何倍、何十倍にもなる可能性は低いでしょうが、少しずつですが確実に日本でもインフレは進んでいます。

日本のインフレ率(=物価上昇指数)は、だいたい年2%なので、5年で1割、10年で2割以上も物価は上昇しています。

裏を返せば、現金や銀行預金で持っている資産価値は、年2%のペースで減り続けているのです。

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出典:老後に直撃?「インフレ」は暮らしにどう影響するのか | 野村證券

このインフレに対処するためにも、最低限の資産運用をしていかなければなりません。

 

損をするリスクを下げる方法

  • 資産運用しなければ資産の価値は下がってしまう=実質損をしている
  • でも、投資には必ずリスクが伴う=損をする可能性がある

となると、八方塞がりかのようですが、リスクをゼロにすることはできませんが、リスクを下げる(コントロール)することはできます。

投資を始める前に、まずはリスク=損をする可能性を下げる方法を知っておきましょう。

 

長期投資する

投資は、運用する期間を長くすればするほどパフォーマンスが安定します。

以下は直近6ヶ月/1年/5年間の日経平均株価(2023年11月15日時点)の推移ですが、期間を長く取ればとるほど値動きが安定してきているのがわかるでしょうか。

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このように、運用期間を長くとる=長期投資をすることでパフォーマンスを安定させ、大幅なリスクを抑えることができます。短期間での値動きにたじろぐことなく、じっくりと長く投資を継続することが資産運用の秘訣です。

 

分散投資する

一つのものに投資するよりも、複数の投資先に資産をバラして投資する=分散投資をした方がリスクを抑えることができます。

仮に1社にしか投資していない場合、その会社がなんらかの不祥事を起こして株価が大暴落でもしようものなら、大損してしまいますが、その会社があなたのポートフォリオの一部であれば、損失を軽減することができるためです。

普通に投資/資産運用をしていれば、なかなか一点張りをする人はいないと思うのでそこまで気にする必要はありませんが、複数の株式に分散投資しているといっても、同じようなタイプのものにばかり偏っていないかは注意が必要です。

 

例えば、飲食業界の会社の株式ばかりに投資していた場合、コロナ禍のように業界全体の株価が下がるような事態に陥ると、いくら分散投資していても総じて株価が下がってしまう可能性が高くなります。

 

同じ食品関係でも、外食産業と家食(宅配やスーパーなど)のようにタイプが違う会社の株式であれば片方が耐えるケースも少なくありません。

その他にも業界内の競合や、円安に強い企業と円高に強い企業、国内産業と国外産業、アメリカ経済と中国景気など、様々な視点でお互いが補完関係になっているような株式で分散投資できるとよりリスクを下げることができます。

 

バリュー株を狙う

最後の手法は、これまでの「長期投資」「分散投資」と比べるともう少し具体的ですが、どんな投資をする上で重要な考え方なので簡単に解説しておきます。

株式投資の中には、

  • 値上がりしそうな株(儲かる株)
  • 値下がりしにくそうな株(損をしない株)

の2種類があります。

後者の損をしない株の代表例がバリュー株です。

バリュー株とは

バリュー株とは、会社の資産価値(value, バリュー)が高い株式のことです。資産価値の高い会社は、その価値を基準に株価が下がりにくいと言われています。
簡単なところではPBR(株価純資産倍率)などの指標があり、バリュー株を中心にした投資をバリュー投資とも呼びます。

投資をしていると、ついつい儲かりそうな株(いわゆるグロース株)に目が行きがちになってしまい、業績が良い・勢いがある・新製品/サービスがアツい・話題性が高い会社が気になってしまいがちですが、反対にどっしりと蓄えられた会社の資産に注目してみるのも重要なポイントです。

潤沢な資産を蓄えている会社は、老舗企業や堅実な経営をしているところが多く、あまり目立たなかったり、昔からある中小企業が中心だったりします。
株式投資初心者のうちは、そういった企業になかなか目を向けるのが難しいかもしれませんが、有名じゃなくても、勢いがなくてもしっかりとした経営をしている会社を探し出すことも重要な視点の一つです。

 

誰でも簡単にできる低リスクな運用方法

損をしない投資はありませんが、損をするリスクを減らす方法について解説しました。

小難しい話ではなく、最後にリスクを抑えた=損をしにくい投資の方法として、誰でも簡単にはじめやすいおすすめを2つ紹介します。

 

積立インデックス投資

投資初心者におすすめの方法1つ目は「積立インデックス投資」です。

インデックス投資とは、インデックス(INDEX, 経済指標)に連動するように運用する方法で、簡単に言ってしまえば、日本やアメリカ、世界の株式全部に分散投資する方法です。

ここで重要になってくるのが、インデックス系の投資信託で、インデックス投信に投資することで、簡単にインデックスへの投資を実現することができます。

例えば、今話題のeMAXIS Slim国内株式(日経平均)に投資すれば、間接的に日本の上場企業約3900社に分散投資しているのと同じような結果が得られます。

手軽に分散投資できるもの投資信託が人気の理由の一つです。

 

インデックス系の投資信託は手数料も安く、またほとんどの商品が少額(100円程度)から投資を始めることができます。

また、NISA/つみたてNISAへの積立投資に対応しているものも多く、来年(2024年)からはじまる新NISAでは全米やオルカン(オールカントリーの略、全世界株式のこと)にフルベットする人も多いようです。

インデックス系投資信託は色々とありますが、運用の質も高く手数料も最低水準なeMAXIS Slimのシリーズが一番おすすめです。eMAXIS Slimについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

 

プロに任せる – ヘッジファンド –

投資信託も良いですが、インデックス投資には「景気の影響をそのまま受ける」「経済成長と同程度のそこそこのリターンしか得られない」といった落とし穴もあります。

やはり、せっかく資産運用をするのであれば、そこそこのリターンを得て少しでも儲かった方が嬉しいですよね?

ですが、自分であれこれ調べたり分析しながら投資先を選んだり考えたりするのが難しそうだという人には、投資のプロ=ヘッジファンドに任せてしまうという方法をおすすめします。

 

ヘッジファンドは、投資のプロなので、私たち一般の投資家と比べて、高いパフォーマンスを安定して出すことができます。

高い専門性と銘柄選定の手法などによって、ローリスク・ミドルリターンやミドルリスク・ハイリターンを実現するのがヘッジファンドです。

そんなヘッジファンドに運用を任せてしまえば、投資を丸投げしつつ安定したリターンを得ることができますが、ここで注意が必要なのが、ヘッジファンドへの投資は、投資信託などと比べて流動性の面にリスクがあります。

一般的にヘッジファンドは最低1000万円程度の基準が設けられているため、株式投資や投資信託などと比べてハードルが高いだけでなく、数ヶ月〜1年単位でしか入出金できないなどの制約が設けられています。

本来、長期投資を目的としている場合、あまり負担にはならないかもしれませんが、流動性を下げることで安定したリターンを追求できるのがヘッジファンドの強みです。

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