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「脱炭素ジャパン」の運用方法や実績・投資の際の注意点を徹底解説

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「脱炭素ジャパン」は、野村アセットマネジメント株式会社が運用する投資信託です。

国内企業の中から脱炭素に向けて積極的に取り組んでいる企業を選んで投資を行うアクティブ型ファンドになります。投資する銘柄は30~50社と厳選されています。

この記事では、「脱炭素ジャパン」の運用方法や今までのパフォーマンス、運用コストや投資する時の注意点や投資家の評判などついて徹底解説しています。

 

脱炭素ジャパン 1分まとめ
  1. 「脱炭素ジャパン」は脱炭素に向けて積極的に取り組んでいる国内企業に投資をするアクティブ型ファンド
  2. 投資銘柄を30~50社程度に絞り込んだ運用
  3. 手数料(販売時手数料、信託報酬)がアクティブ型ファンドの平均より高め
  4. 信託期間が20年未満なので新しいNISAの成長投資枠の対象商品に該当しない
  5. 基準価額は、直近(2023年4月以降)上昇しているが、投資家の評判はよろしくない

 

脱炭素ジャパンの基本情報

「脱炭素ジャパン」は野村アセットマネジメント株式会社が運用するアクティブ型のファンドです。

脱炭素ジャパンは、脱炭素社会の実現に貢献する企業を選別して投資を行い、社会的な課題解決に寄与するとともに投資収益を追求するファンドになります。

脱炭素とは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にすることを目指す取り組みを指します。
「実質ゼロ」というのは、温室効果額の排出量と吸収量を均衡させてプラスマイナスゼロにすることです。その目的は、気候変動に伴う豪雨や猛暑による、農林水産業や水資源、自然生態系、自然災害と産業・経済活動への影響を抑えることにあります。2020年10月に日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

 

<概要>ファンドの基本情報

名称 脱炭素ジャパン
委託会社 野村アセットマネジメント株式会社
投資対象 株式
投資対象地域 日本
決算頻度 年1回
投資形態 ファミリーファンド
信託期間 2031年7月14日まで
購入時手数料 3.3%以内(販売会社により異なる)
信託財産留保額 0.3%
信託報酬 年1.584%

 

脱炭素ジャパンは、信託期間が2031年7月14日までですが、設定が2021年8月23日なので、信託期間は10年と運用期間が短いファンドです。

 

脱炭素ジャパンの特徴について

脱炭素ジャパン最大の特徴は、なんといっても「脱炭素」というキーワードに着目したアクティブファンドである点でしょう。

投資信託の中には「日本株」や「全米」「全株式(オールカントリー、通称オルカン)」など、マーケット全体に投資するインデックスファンドが数多くあり、そういった投資信託は特定の指標(日経225やTOPIX、S&P500など)に連動するように運用されます。

 

ですが、脱炭素ジャパンは、「脱炭素」というキーワードに着目し、脱炭素への貢献が期待される企業を選定して投資します。

このように個別企業の調査・分析し銘柄を選定していくアプローチ方法を「ボトムアップアプローチ」と言います。

一方で、経済成長率や物価、金利などのマクロ分析からスタートし、国別資産配分や業種別配分など投資の枠組みを決めた後で個別銘柄を選定していくアプローチ方法を「トップダウンアプローチ」と言います。

 

「脱炭素ファンド」の銘柄選択〜ポートフォリオ構築のプロセスは以下の通りです。

  1. 日本の上場株式からESGおよびSDGsの各項目を、野村アセットマネジメント独自のスコアで定性・定量の両面から評価し、投資ユニバース(投資先の集合体)を作成(約400~500銘柄)
  2. 投資ユニバースの約400~500銘柄の中から脱炭素への貢献が期待される銘柄をボトムアップアプローチで選別(約200銘柄)
  3. ボトムアップアプローチで選別した銘柄の中から、その企業の競争力や成長性、株価の割高・割安の度合いをみるバリエーション評価と、業種分散などを総合に勘案し、実際に投資を行う銘柄を選択しポートフォリオを構築(約30~50銘柄)

参考:脱炭素ジャパン|投資信託説明書 (交付目論見書) 使用開始日 2023年4月8日

 

今、投資/資産運用している人たちの間で人気が高いのが、脱炭素ジャパンのような特定のキーワードによらない「インデックス投資ファンド」です。

「日本」や「全米」「先進国」「全世界」などの、広い地域をターゲットにした投資=経済全体に投資する方が、一般的にはリスクが少なく長期的に安定したリターンが得られるという意見が大半だからです。

 

ですが、一方で、2000年代初頭のIT企業ブームがそうであったように、次世代を担う事業や産業をきちんと見極めることができれば、マーケット/経済全体に投資するよりもはるかに高いリターンを得られる可能性がグッと高くなります。

「脱炭素」というキーワードは、まだまだ新しく具体的な成長をイメージするのは難しかもしれませんが、今後これが世界基準となるような未来になれば非常に大きな利益を得ることができるかもしれません。

 

脱炭素ジャパンの手数料

脱炭素ジャパンの手数料(購入時手数料・信託報酬)について、投資信託全体と比べると、以下の通り平均を上回る、少しコストの高い投資信託と言えるでしょう。

脱炭素ジャパン ジャパンアクティブファンド平均
購入時手数料 3.3%以内 2.17%
信託財産留保額 0.3% (データなし)
信託報酬 年1.584% 年1.13%

参考:投資信託の主要統計等ファクトブック – 投資信託協会

 

「脱炭素ジャパン」の実際のポートフォリオは

では、具体的に脱炭素ジャパンがどのような企業に投資しているのか、具体的な組み入れ銘柄を見ていきましょう。

2023年7月31日時点の組入銘柄数は49銘柄で、その中の上位10銘柄とそれぞれの純資産比は以下の通りです。

参考:脱炭素ジャパン|マンスリーレポート(2023年7月31日)

 

上位10銘柄合計で純資産比39%、残り39銘柄で61%と上位銘柄に比率が高いことがわかります。また、10銘柄全て東証プライム銘柄と大手企業に集中しています。

上位10銘柄については、脱炭素社会の実現への貢献と企業評価のポイントを、その企業の具体的な取組みを含めて解説しています。ここでは、その中から上位3銘柄を抜粋して紹介します。

日本電信電話(NTT)
低消費電力などにつながるIOWN(アイオン)の導入により、自社の消費電力の削減や社会の温室効果ガス削減への貢献を目指している。

関西電力
2050年ゼロカーボン向けて、発電によるCO2排出量を2025年度に2013年度に比べて半減、顧客や社会の排出量を2030年度までに700万トン以上の削減に取り組んでいる。

東レ
2023年3月に発表した中期目標で、2030年度にはSI(サスティナビリティイノベーション)事業の売上を2013年度比約4.5倍の約5,264億円、CO2削減貢献度も2013年度比25倍の0.4億トンと目標値を引き上げている。

 

脱炭素ジャパン・マザーファンドの資産・市場別配分は、上位10銘柄からも分かるように、全体の94.8%が東証プライム銘柄で占められ、大型株での運用になっています。

また、組入銘柄1位の日本電信電話(純資産比5.3%)の業種は「情報・通信業」ですが、業種別配分を見ると、化学が多く全体の4分1弱(23.6%)を占めており、以下、電気機械(10.6%)、電気・ガス業(9.2%)建設業(7.6%)、機械(7.3%)と続いています(情報・通信業はその他)。

参考:脱炭素ジャパン|マンスリーレポート(2023年7月31日)

 

「脱炭素ジャパン」に投資する時の注意点やメリット・デメリット

では、「脱炭素ジャパン」に投資する際の注意点やメリット・デメリットについて考えていきましょう。

 

脱炭素ジャパンに投資する時の注意点

「脱炭素ジャパン」に投資する時の注意点の1つ目は、2024年1月からスタートする新しいNISAの成長投資枠の対象外商品である点です。

新しいNISAの成長投資枠の対象商品になるには、20年以上の信託期間が必要になります。現在「脱炭素ジャパン」の信託期間は10年弱なのでこの条件をクリアすることができません。

ただし、2023年末で終了する一般NISAでの購入は可能なので、今すぐにNISA枠で投資をすれば、買付金額が最大120万円/運用期間5年間は、利益に対して非課税で運用ができます。

もちろん、残りの期間(2028年以降)を課税口座(特定口座、一般口座)で運用すれば信託期間(2031年7月14日まで)フルの運用も可能です。

また、このファンドは2022年10月の約款変更で信託期間を2026年7月14日から2031年7月14日に延ばしているので、再度の約款変更で成長投資枠の投資対象基準迄期間を延長する可能性があります(他のファンドでも信託期間を20年以上にしたり、分配金回数を毎月から隔月に約款変更して成長投資枠の対象商品にする動きがあります)

 

2つ目の注意点は、脱炭素ジャパンがベンチマークを設定していないため、運用成果の判断が付けづらい点です。

TOPIXなどの一般的な指標と比較して「脱炭素」というテーマ/キーワードへの投資がどうなのかを判断するか、類似ファンド(フィディリティ・脱炭素日本株・ファンド」など)と比較してファンドとしての良し悪し/実力を見るのがおすすめです。

 

脱炭素ジャパンに投資するメリット

脱炭素ジャパンに投資する最大のメリットは、なんといっても「脱炭素」というキーワードへの期待感でしょう。

今後SDGsへの関心はますます高まりESG投資といった、社会に対して貢献する企業の成長や株価の上昇は非常に期待されています。そんな中でも重要なキーワードの1つである「脱炭素」をテーマにした投資は、今後大きな成長をする可能性があります。

また、投資内容も、TOPIXなどの経済指標を当てにしないアクティブ投資なので、市場を上回る高い利回りが得られる可能性もあります。

 

脱炭素ジャパンに投資するデメリット

一方のデメリットは、マーケットが脱炭素(カーボンニュートラル)に対しての関心が今以上に高まらないと高い成長が期待できない点です。

それに加えて、カーボンニュートラル達成の目標である2050年に対して、脱炭素ジャパンの信託期間が2031年7月14日までとかなり短く設定されている点も懸念点の一つです。今後、延長される可能性もありますが、結果が出るまでにはそれなりの時間がかかる可能性もあります。

また、先述の通り、手数料(購入時手数料・信託報酬)がアクティブ型ファンドの平均よりも高い点にも注意が必要です。

 

脱炭素ジャパンの実績と評判は

脱炭素ジャパンの設定来の基準価額と純資産の推移は以下のグラフの通りです。

参考:脱炭素ジャパン|マンスリーレポート(2023年7月31日)

 

基準価額は設定後にいったん上昇した後、上昇と下落を繰り返し2022年2月24日に始まったウクライナ紛争の時に大きく下落(8,740円/3月9日)し、その後1年間は基準価額(1万口当たり)が10,000円を超えることなく推移しました。基準価額が上昇を始めるのは2023年4月からでした。

ここで気になるのは、基準価額上昇後も純資産の増加が見られない点です。純資産は「基準価額×口数」で計算されるので解約により口数が減っていることが考えられます。

2021年8月23日の設定から現在(2023年7月31日)までの2年間という短い運尿期間ですが、現在の基準価額は11,361円(分配金控除後)と設定時の10,000円を上回っています。また、騰落率は18.4%(過去1年間)/14.1%(設定来)となっています。

 

そんな脱炭素ジャパンの評判/評価についてネット上の口コミは以下の通りです。

  • 口コミ1:「伸びないので、切りました(損切です)」
  • 口コミ2:「ここ伸びないねえ ジャパンは見切り時?」
  • 口コミ3:「名前だけはカッコいいけど、ファンドとしては零点。ホントに腹立たしい限りです。いつになったら期待に応えてくれるのやら?」
  • 口コミ4:「0って何だ?(1回目の決算で分配金が出なかった件について)」

これまでの運用成績からも察するように、運用実績に対する評判はあまり良いとは言えず、分配金についても不満がありそう=解約が多そうな印象を受けます。

しかし、上のグラフからも分かるように、2023年に入ってからは基準価額も上昇してきており、まだまだ評価の分かれるファンドと言えるでしょう。

 

まとめ

脱炭素ファンドは、国内企業の中から脱炭素に向けて積極的に取り組んでいる企業を30~50社選んで投資を行うアクティブ型ファンドです。投資する銘柄数が少ないので、ファンドマネジャーの目利き力が運用成績を大きく左右するファンドと言えます。

世の中がどれだけ脱炭素=カーボンニュートラルに対して前進するかによりますが、将来的に大きな可能性を秘めている一方で、より広く一般的な投資(インデックス投資)から始めたい人や、新しいNISAでの資産運用を中心に考えている方にはおすすめできません。また、手数料が高い点も気になります。

 

温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルについて、日本政府が掲げる目標は2050年までの達成です。社会全体として長期的に取り組んでいかなければいけない課題に対して、ファンドの信託期間が2031年7月14日までしかない点も気になります。

発売当初の信託期間(元々2026年までだった)ことも考えると、旬なテーマで投資家を引き付ける、販売会社が売りやすいファンドという印象です。