いまネットで話題のファンドにBMキャピタル(BM CAPITAL)があります。
- 「パフォーマンスがいい」
- 「リスクが小さい」
- 「初心者でもはじめやすい」
など、様々な点で評価されていますが何がそんなに優れているのでしょうか?
実際、BMキャピタルは「年平均10%」程度の利回りと言われており、ヘッジファンドの中で特段飛び抜けて高いリターンではありません。
ですがいくら口で「安定している、リスクが少ない」と言われてもなかなかピンとこない人もいるでしょう。
そこで今回は「シャープレシオ」を用いてBMキャピタルのパフォーマンスをより定量的に評価していきたいと思います。
シャープレシオとは
BMキャピタルの評価をする前に、まずは「シャープレシオ」について解説しておきましょう。
シャープレシオとは投資の効率性を測る指標です。
カンタンに言ってしまうと、シャープレシオが大きければ大きいほど投資の効率性が高く、より優秀な運用と言えます。
もう少し具体的に書くと「リターン(からリスクフリーレートを引いたもの)をリスクで割ったもの」がシャープレシオです。
リスクフリーレートとは「無リスク資産の収益率」とも言われ、金利などのようにリスクゼロでも得られるリターンのことです。
これを差し引きはしますが、シャープレシオとは「リスク当たりのリターン」とも言い換えることができます。
シャープレシオは「リスク当たりのリターン」です。
つまり、同じリターンであればリスクが小さい方がシャープレシオは大きく=効率性が良くなりますし、反対にリターンが同じなのにリスクが大きければシャープレシオは小さく=効率性は悪くなります。
なので、シャープレシオを比較すれば、より効率的=優秀な運用かどうかを一目で判断することができます。
なぜシャープレシオが重要なのか
もう少し掘り下げてみていきましょう。
投資信託やヘッジファンドなど、世の中にある様々な金融商品は「年平均〇〇%」「X年でX.X倍!」といったようにそのパフォーマンスや実績を示すことが少なくありません。
ですが、同じ「年平均10%」のファンドが2つあったとしても投資の実力が同じとは限りません。
下のグラフのA,Bのファンドを比べてみてください。
参照:シャープ・レシオとは?計算方法や見方を分かりやすく解説|フィデリティ証券
AとBのファンドは、同じ期間に同じだけ成長しているので年平均などの実績で見ると同じ値になります。
ですが、グラフを見ても明らかなように、ファンドAはBよりも価格変動が大きく、いつどのように乱高下するのか予測がつかない不安定さ=リスクがあります。
これは
- 市場全体の上下に引っ張られやすい傾向がある
- 大勝ちか大損かの2択を繰り返している
- その都度投資の戦略や手法が変化している
などの様々な可能性が考えられます。
つまり、Aのように不安定なファンドは、いま時点ではたまたま勝っているけれども、翌年には大きく損失を出している可能性もあるのです。
一方でBのファンドは、つねにパフォーマンスが安定しており、どの部分を切り取っても同じようなリターンが得られています(※グラフ再掲)
このように実力で狙ったリターンを得られている方が、今後も安定した成長が期待できますし、ファンドとしてより優秀と見ることができます。
このファンドAとBを比べるとリターンは同じになってしまいますが、シャープレシオは異なります。
よりリスク(不確実性)を抑えつつ同じだけのリターンを得ているファンドBの方がシャープレシオの値はAよりも高くなります。
今回のように2つのグラフを見比べることができる場合はシャープレシオは必要ありませんが、実際に様々なファンドを比べるときにそうはいきません。
このグラフの「ブレ具合」を数値化したものがシャープレシオなのです。
シャープレシオの数字が全てではないですが、特にヘッジファンドのように戦略や手法がしっかりしている運用を比較するときに、非常にわかりやすく、芯をついた評価をすることができます。
一つだけ注意点として、パフォーマンスがマイナスの場合、マイナスが大きければ大きいほど、シャープレシオは小さく(マイナスの値として大きく)なるので、単純に大小で比較しないよう注意が必要です。
※絶対値が大きいほど安定して大きな利益/損失が出ているということになります。
脅威の数値!BMキャピタルのシャープレシオは?
BMキャピタルとは
シャープレシオの前に、まずはBMキャピタルについて簡単に紹介しておきます。
ファンド概要
名称 | ビーエムシー合同会社 |
英名 | BMC LLC |
所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木7-18-1 |
事業目的 | (1)金融商品取引法に基づく有価証券及びデリバティブ取引 (2)各種事業への投資 (3)有価証券の自己募集 (4)経営コンサルティング業務 (5)前各号に附帯する一切の業務 |
参考:BMキャピタルHPより
BMキャピタル(BM CAPITAL)は「資産を守る、損失をなるだけださない運用」という投資哲学で運用する日本のヘッジファンドです。
細かいことは以下の関連記事でも解説していますが、特筆すべきは以下のパフォーマンスです。
参照:BM CAPITAL
素晴らしい実績ですが、
- 平均利回り年10%以上
- 資産価値6年で2倍
- マイナスの年0回
と言われても「なんとなく高そう」「なんとなくすごそう」と感覚で評価することしかできません。
この実績がどの程度のスゴさなのか、定量的かつ客観的に評価するためにBMキャピタルのシャープレシオを算出していきたいと思います。
BMキャピタルのシャープレシオ
BMキャピタルのシャープレシオですが、その値は公開されていません。
また、過去の実績(トラックレコード)についても情報が公開されていません。
BMキャピタルは私募のヘッジファンドであり公開されている情報は限定的です。
ですが、BMキャピタルは問い合わせて資料請求をすることで、面談を通じて細かいデータの入った資料をもらうことができます。
https://asset-management-guide.com/bmcapital-interview/
なので、過去に問い合わせた際にいただいた資料の数字を元に私が個人的に数値を求めていきたいと思います。
社外秘とのことなので、トラックレコードの詳細は掲載できませんが、過去9年分(2013年〜2021年)の1ヶ月ごとの数値をベースに私個人が算出したBMキャピタルのシャープレシオは
BMキャピタルのシャープレシオ = 1.81
です。
リスクフリーレートは無担保コールレート・O/N 月末/金利を参照。
一般的にシャープレシオは「1」を基準に、それ以上であれば及第点と言われています。1.5を超えると十分に優秀なファンドで、2を超えるファンドはほとんどありません。
- 〜0(マイナス):論外
- 〜0.5:非常に悪い
- 〜1.0:少し悪い
- 1.0前後:普通
- 1.0〜:優秀
- 1.5〜:超優秀
- 1.81:BMキャピタル
- 2.0〜:世界レベル
この数字を見てもシャープレシオが1,81のBMキャピタルがいかに優秀な(リターンに対してリスクが低い)ファンドであることがわかります。
とはいえ、この数字だけを見てBMキャピタルが誰にでもおすすめできる最高のファンドというわけではありません。
過去の実績からも分かるように年平均10%が目安であり、
「年20%以上のリターンが欲しい」
「リスクを取ってでもガンガン稼ぎたい」
「一攫千金を当てて億万長者になるんだ!」
という人にBMキャピタルは合わないでしょう。
シャープレシオが高いということは、それだけ運用が安定しているということです。
つまり「平均年10%」のBMキャピタルがいきなり資産を2倍3倍にするようなビッグリターンを産む期待も小さくなります。
ですが
「年5〜10%くらいのリターンがもらえれば十分」
「リスクを抑えて中長期的にコツコツ運用したい」
「少しずつ資産形成できれば十分」
という考えの人には非常に優秀で魅力的な投資先でしょう。
BMキャピタルについては、以下の記事でも様々考察しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。