資産運用の基礎知識と注意点

投資ポートフォリオとは?リスクを減らして資産を増やす運用方法

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「ポートフォリオという言葉を聞くけどそもそも何なのか分からない」
自分に合ったポートフォリオや資産運用の方法が知りたい」
リスクを減らして資産を増やす投資方法はある?」

このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

実は、適切に分散投資を行い、ポートフォリオを組むことで、リスクを減らしながらリターンを向上させる「効率的ポートフォリオ」の作成が可能であるということが、様々な理論や論文で述べられています。

これを現代ポートフォリオ理論と言います。

 

これから投資を始めていきたい方、すでに投資を始めているけど思うような成果が出ていないという方にとっては「ポートフォリオの考え方」は非常に重要です。

 

当記事ではそんなポートフォリオについて、

  • 投資のポートフォリオの概要や考え方
  • リスクを減らして資産を増やすための方法
  • ポートフォリオに入れたい投資手法

を解説していきます。

ポートフォリオの考え方や組み方を知って、ぜひご自身の資産運用 / 資産形成に役立ててみてくださいね。

1分でわかるまとめ

ポートフォリオの重要性

ポートフォリオは「さまざまな金融商品や手法を、どのくらいの割合で配置して運用するのか設計したもの」をいい、資産運用の地図の役割を担う重要なものです。

ポートフォリオを組まずに運用するのは、地図を見ず荷物も持たずに登山するようなものです。資産形成をするうえでは絶対に欠かせないものなので必ず用意しましょう。

 

おすすめのポートフォリオの組み方

投資のポートフォリオといっても人それぞれ組み方や戦略は異なります。

  • 資産運用の目的は何なのか
  • 自分がとれるリスクはどのくらいか
  • どのくらいのリターンをのぞむのか

上記3点は必ず確認しましょう。

そのうえで例えばできる限りリスクをとりたくない場合は、まずは下記のようなポートフォリオを組んでみましょう。

おすすめポートフォリオ例)
預貯金:70%+株式:10%+債券:20%

すぐ引き出せる預貯金の割合を多めにして守りを固めています。投資に慣れてきたら、預貯金の比率を下げて運用に回すなど臨機応変に見直しをしていきましょう。

 

ポートフォリオに入れるおすすめの資産運用

株式や債券を投資の目的やリスク許容度に応じてバランス良く配置しましょう。投資信託の中には株式や債券を組み込んだ商品も存在するので、それを活用するのも有効です。

ポートフォリオとは?作ったほうがいい理由

投資の勉強や実践を始めると「ポートフォリオ」という言葉を頻繁に見聞きするようになります。まずは「そもそもポートフォリオとは何なのか」「なぜポートフォリオを作ったほうがいいのか」その理由を解説します。

 

ポートフォリオとは?

ポートフォリオとは投資を行うときに「どの金融商品や手法を使って、どのくらいの配分で運用するのか設計したもの」をいいます。自分がとれるリスクや望むリターンを意識しながら、株式や債券、不動産、保険、暗号資産などを組み合わせていきます。

 

ポートフォリオを作る理由

なぜポートフォリオを作る必要があるのでしょうか。

  • 自分の資産状況を把握するため
  • 自分がとっているリスクを把握するため
  • どのくらいのリターンが見込めるのか把握するため
  • できる限りリスクを抑えて効率的に資産を増やすため

主に上記のような理由が挙げられます。

 

ではなぜ投資において、資産状況やリスク/リターンを把握しておくことはなぜ重要なのでしょうか?

株式や債券、不動産など投資手法や金融商品によってリスクの度合いやメリットデメリットは大きく異なります。

そんな中で、自分の資産状況や運用の目的と照らし合わせて、どのくらいリスクをとれるのか、どのくらいリターンが欲しいのかを明確にしなければいけません。

 

例えば、現在0歳の子どもが将来大学生になったときに備えて、いまから教育資金の準備を始めるという場合。

教育資金は必要になるタイミングが決まっているため、できる限りリスクを抑えながらコツコツ運用することがのぞましいです。

ハイリスクの資産運用で教育資金を作ろうとすると、高校や大学の入学などの資金がいざ必要になるタイミングで、投資先が大暴落してしまったらどうでしょうか。必要な資金を賄えなくなってしまうことも考えられますよね。

こうした場合は、投資信託などの比較的リスクが低い金融商品を組み合わせて、徐々に資産形成を行い、必要なだけの資金を作り上げていくことが重要だといわれています。

 

逆に「来年までに資金を2倍以上にしたい」「積極的にリスクをとって株式や不動産、暗号資産などに投資したい」といった場合は、低リスク / コツコツ型で大きなリターンを得づらい投資信託や債券投資などは向きません。

 

投資の目的だけでなく年齢や家族構成なども大きく影響します。20代と50代では投資戦略は異なりますし、独身、既婚、子どもの有無などによってポートフォリオの組み方は変化します。

ひとりひとり資産運用の考え方、とるべき戦略は異なります。だからこそ、登山をするときに地図が必要なように、できる限りリスクを抑えて効率的に資産を増やすためにもポートフォリオを設計する必要があるのです。

 

ポートフォリオの作り方

ポートフォリオの重要性はなんとなくわかったけれども、具体的にはどうすれば良いの?という方も多いでしょう。ここでは、ポートフォリオの作り方を解説していきます。

 

ポートフォリオは、主に下記の5つの流れで作っていきます。

  1. 現状把握
  2. 資産運用をする目的を明確にする
  3. リスク許容度の確認
  4. 金融商品を組み合わせてポートフォリオを作る
  5. 運用しながら定期的に見直す

 

まずは現状把握です。

自分の資産はどうなっているのかまずは現状を確認しましょう。保有している資産の種類、資産ごとの金額、全資産のうちどのくらいの割合を占めているのか書き出してみましょう。

もし全ての資産を銀行に預けている場合は「預貯金100%」です。

日本の場合「資産のほとんどは預貯金」になっているパターンが多いです。株式や債券、不動産、保険、暗号資産などさまざまな金融商品にバランス良く配置しているケースは少ないと考えられます。

“さとる”
“さとる”
そのためまずは「預貯金一極集中」から少しずつ分散していくことが大切といえますね。

 

そして、次は目的の確認 / 設定です。

現状把握ができたら、ポートフォリオを作る理由の段落でも解説した通り、

「なぜ資産運用をするのか」
「何のために資産を増やしたいのか」
「増えたら何に使うのか」

を明確にしましょう。「なんとなくお金が増えたらいい」など漠然とした理由だと、今後の投資先選定などの指針が作りづらくなってしまいます。

「子供の教育資金のために、20年後までに◯万円の資産を作りたい」「老後の生活資金のために、30年後までに◯万円の資産を作りたい」など、具体化をしてみましょう。

 

次に、リスク許容度の確認です。「自分はどのくらいリスクを受け入れられるのか」を確認しましょう。

リスク許容度がよく分からない場合は「投資に回したお金がどのくらいマイナスになったら精神的、経済的に厳しいか」考えてみてください。

いままで全く投資をやったことがない場合、まずは「全資産の10〜20%以内」におさえることをおすすめします。いきなり資産の大半を預貯金以外の投資に回すのはリスクが大きいからです。

例えば預貯金200万円ある人が100万円を投資に回すと「全資産の50%」を運用している形になります。運用がマイナスになったり破綻すると、一気に50%のお金がなくなってしまいます。

生活が破綻してしまっては本末転倒です。投資をするときは万一なくなっても生活に大きな影響を与えない余剰資金で行うようにしましょう。

 

そして最後に、具体的なポートフォリオの作成です。

運用目的やリスク許容度が明確になったら、それに沿った形でポートフォリオを組んでいきます。おすすめの組み方はこの後解説していきます。

また、実際に運用を始めたら、定期的な見直しも重要になります。現状の資産状況や運用状況で目標は達成できるのか、ポートフォリオの修正が必要かなどは、適宜確認しましょう。

 

【タイプ別】おすすめのポートフォリオ

投資のポートフォリオといっても十人十色で、ひとそれぞれ組み方や戦略は異なります。そこでタイプ別におすすめのポートフォリオを紹介します。

今回は以下の3つのタイプを解説します。

  • 20代/独身
  • 30代既婚、子どもなし
  • 40代既婚、子ども2人(中学生)

 

20代/独身

社会人になったばかりだと預貯金がほとんどないことも少なくありません。その一方で独身で動きやすく、働ける体力や時間は他の年代に比べて豊富です。

預貯金がほとんどない場合はまず100万円貯めることを目指しましょう。貯金ができたら、まずは全資産の10〜20%程度を投資信託に使い、資産運用の経験を積むことから始めましょう。

毎月500円程度で始められる金融商品もあり、つみたてNISAを活用すれば運用益は非課税になるメリットもあります。この段階では本格的に投資で資産を増やすというよりも、たとえ少額でも実践的な投資経験を積むのが大切です。

毎月500円であれば年間6000円です。飲み会に1〜2回参加するつもりで勉強にお金を使ってみてはいかがでしょうか。万一運用に失敗してお金がなくなってしまったとしても、生活に大きな影響を与えるレベルではありません。

 

30代/既婚、子どもなし

30代になると少しずつ収入が増え、結婚すると家計や将来のことを考える機会も増えていきます。いままで投資に全く興味がなかったとしても、お金の勉強を始める人もいるかもしれません。

結婚して「自分だけの問題ではない」ことが増えても、一般的にはまだ・・リスクをとりやすい状態です。万一投資で失敗してしまったとしても、夫婦それぞれ働いて稼げば挽回できることが多いからです。

 

投資でリスクを絶対にとりたくない場合は別ですが、そうではなく少しずつリスクをとっても問題ない場合は株式や債券もポートフォリオに入れてみましょう。

一般的に株式は景気が上向きのときに強く、債券は景気が下向きのときに強いといわれています。株式は攻め、債券は守りのイメージですね。

 

株式と債券の合計を100%とした場合、最初はリスクを減らして「株式30%、債券70%」などにするのも良いかもしれません。

投資の経験を積み、資金が増えたりポートフォリオの組み方にも慣れてきたら「株式50%、債券50%」「株式60%、債券40%」などのように、少しずつ株式の比率を高めていくのもおすすめです。

株式と債券を個別で購入するのが難しい場合は、投資信託を購入して、その中で株式と債券のバランスを配置しましょう。

運用資金が少ない場合でも、30代から時間をかけてコツコツ複利で投資すれば、30年後や50年後などには雪だるま式に増えて無視できない金額になることもあります。

 

40代/既婚、子ども2人(中学生)

子どもの教育費が本格的にかかり始める時期なので、流動性が高くすぐに引き出せる預貯金の割合を高めていきましょう。「預貯金60%、それ以外40%」などのように守りを固めても良いかもしれません。

というのも特に将来子どもが高校や大学にあがる頃は家計が赤字になることも多く、リスク許容度も低くなる傾向があるからです。

 

投資にはリスクがつきもので、子どもが高校や大学にあがるタイミングで都合よく利益が出るとは限りません。逆に暴落して損失が出ることも十分考えられます。

例えば過去のリーマンショックのような金融危機が起こるタイミングと教育費がかかるタイミングが重なってしまう可能性もゼロではありません。そうなると投資で資産を増やすどころか損失が増えて生活に悪影響を与えてしまうおそれがあります。

「損失と子どもの高校や大学の進学が重なるかもしれない」前提で対策していきましょう。

20代や30代からコツコツ投資を行い、利益確定もして子ども2人分の教育費を十分確保できる目処がついていれば、リスクをとったポートフォリオを組むこともできます。

  • 20代や30代から行ってきた運用成果
  • 収支状況や資産規模
  • 独身か既婚か
  • 子どもの有無

などによって同年代でも投資のポートフォリオ戦略が大きく変わるのも大きな特徴です。

 

ポートフォリオに入れたい資産運用方法

結論からいえば、株式と債券はポートフォリオに入れることをおすすめします。投資信託の手法を使えば、それぞれを組み合わせた商品もあるので便利です。

一般的に株式は景気が上向きのときにメリットが大きく、債券は景気が下向きのときにメリットが大きいと言われています。

株式は企業の業績や世界経済などに左右されるため、景気がよければ上がりやすい一方、景気が悪ければ値下がりのリスクも。

一方で債券は、額面金額/利息額が定められていることが多く、極端な話をすると発行元が倒産さえしなければ、安定して利益を得られる商品。会社の業績や景気は株式投資の場合ほど重視されません。

 

株式と債券を組み合わせることで、景気が良いときも悪いときも対応できるようになります。景気が上向きの場合は株式の比率を上げて攻めの姿勢で運用する、下向きの場合は債券の比率を上げて守りを固めるといったような戦略をとることも可能です。

株式と債券の特徴を把握したうえでポートフォリオに入れていきましょう。ここからは国内外の株式と債券をどのように配置すればいいのか解説します。

 

できるだけリスクをとりたくない

運用するにあたってできる限りリスクをとりたくない、年3%程度の利回りを目指したい場合は、下記のような割合もおすすめです。

  • 国内株式:10%
  • 海外株式:10%
  • 国内債券:60%
  • 海外債券:20%

国内債券を多めにして守りを固めつつ、株式にも10%ずつ配置してリターンを狙います。完全に投資初心者の場合は、まずは経験を積む意味でも、守り重視でポートフォリオを組んでも良いかもしれません。

 

平均利回りを目指して運用したい

年5%程度の世界平均くらいの利回りを目指したい場合は、下記のように均等に資金を配置するのもおすすめです。

  • 国内株式:25%
  • 海外株式:25%
  • 国内債券:25%
  • 海外債券:25%

私たちの公的年金も同じようなポートフォリオで運用されています。国民の年金を運用するため、ある日突然一気に資金がなくなってしまうと大きな問題になります。国としてもそれは困るので、リスクをとりつつ万一に備えて運用しています。

 

積極的にリスクをとって運用したい

年10%以上など高利回りを目指す場合は、下記のように株式の比率を上げるのもおすすめです。

  • 国内株式:10%
  • 海外株式:80%
  • 国内債券:5%
  • 海外債券:5%

「株式90%、債券10%」になっているので、景気が上向きの場合は大きなリターンを狙える可能性があります。その一方で金融危機などが起こると世界的に景気は下向きになり、企業の業績も大幅に悪化して株価は暴落するリスクもあります。

 

まとめ – 必ずポートフォリオを組んで資産運用をしよう –

今回はお資初心者の方に向けてポートフォリオとは何なのか、リスクを減らして運用するにはどうすればいいのかを解説しました。

改めて自分自身の現在置かれている状況や、資産運用の目的・目標を確認してバランスの良いポートフォリオを作成しましょう。

 

ですが、ポートフォリオは作ったら終わりではありません。

転職や退職、独立、収入の増加や減少、結婚、子育てなどライフステージは常に変わり続けます。投資のポートフォリオも状況に合わせて臨機応変に見直していきましょう。

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