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グローバルAIファンドのパフォーマンスや投資する時の注意点を徹底解説

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今回は評判の「グローバルAIファンド」について解説していきます。

ChatGPTが話題になるなど、昨今急速に普及が広まっているAI産業ですが、その急成長業界に特化して投資するのがグローバルAIファンドです。

 

ここでは、そんなグローバルAIファンドについて、ファンドの特徴やパフォーマンス、投資する際の注意点などを整理して解説していきます。

またグローバルAIファンドには、実は4つのオプション(選択肢)が用意されています。それぞれのポイントやメリットデメリット、パフォーマンスや口コミ・評判についても比較・解説していきます。

1分でわかるまとめ

  • グローバルAIファンドは、世界のAI産業に投資する投資信託
  • 4つのオプションがあるが、ファミリーファンド方式なので運用会社は同じ
  • 分配金のないものがおすすめ
  • AI産業自体は成長が期待できるが、株価については既に高騰しており今後の伸びについては注意が必要

グローバルAIファンドの基本情報

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<概要>ファンド基本情報

名称 グローバルAIファンド
グローバルAIファンド(為替ヘッジあり)
グローバルAIファンド(予想分配金提示型)
グローバルAIファンド(為替ヘッジあり予想分配金提示型)
委託会社 三井住友DSアセットマネジメント株式会社
投資対象資産 株式
投資対象地域 グローバル(日本を含む)
投資形態 ファミリーファンド
為替ヘッジ なし/あり
※為替ヘッジのあり/なしはファンドによって異なります。

参考:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド

 

グローバルAIファンドには

  • 予測分配金提示型(年12回) or 年1回
  • 為替ヘッジなし/あり

の2つの要素で4つの種類があります。

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ですが、それぞれ投資戦略やスキームなどは共通しているので「グローバルAIファンド」として見ていきましょう。

 

グローバルAIファンドの特徴

グローバルAIファンド投資戦略

グローバルAIファンドは、その名の通り「グローバル(全世界の)」「AIに関する」上場株式に投資することで信託財産の成長を目指す投資信託です。

ここ数年で爆発的な成長と普及をしているAI(人工知能)の進化、応用によって高い成長が期待される会社の株式に投資することで資産の増加を狙います。

AIとは「人工知能」のことです。

数年前から注目が高まっていた、FinTech(フィンテック)やIoT、自動運転、VR、ロボティクスなどの産業に用いられるAI技術に加えて、2023年に入り高性能な「ChatGTP」が広く認知されるなど、令和の時代に突入してから、AI技術は爆発的な革新を遂げています。

 

グローバルAIファンドスキーム(運用の仕組み)

世界のAI企業に投資するグローバルAIファンドですが、委託会社である三井住友DSアセットマネジメント株式会社が直接世界中のAI関連企業の株式で運用するわけではありません。

 

グローバルAファンドは「ファミリーファンド方式」を採用しており、「グローバル AIエクイティ・ マザーファンド」というマザーファンドを通じて世界のAI関連株に投資します。

なお、マザーファンドである「グローバル AIエクイティ・ マザーファンド」はヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーが運用を指図するため、実質的には、このファンドに運用を任せていることになります。

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参考:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド

“さとる”
“さとる”
ヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシー(Voya Investment Management Co LLC)は、運用を続けるアメリカの資産管理会社です。50年以上の歴史を持ち、3,230億ドルを運用しており、資産運用会社として世界トップ50に名を連ねています。

 

ファミリーファンド方式とは、投資家が購入するファンド(投資信託)が、直接運用するのではなく、運用を担うマザーファンドに投資することで、間接的に運用する投資信託のスキーム(仕組み)のことです。

ファミリーファンド方式にすることで、直接投資することが難しい海外の市場や、専門的な知識が必要な領域に投資することが容易になる一方で、間接コストが高くなるため注意が必要です。

よく「ファミリーファンド方式」と「ファンド・オブ・ファンズ方式」を誤って認識している人がいますが、ファンドオブファンズは、1つの投資信託を通じて複数のファンドに間接的に投資する形の投資信託です。

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※以下のセゾン・グローバルバランスファンドなどが、ファンドオブファンズ形式の一例になります。

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参考:投資信託説明書(交付目論見書)|セゾン・グローバルバランスファンド

 

対して、ファミリーファンド方式は、1つのマザーファンドに投資するオプションとなる投資信託が複数あるグローバルAIファンドのような方式を指すので、混同してしまわないように注意しましょう。

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(再掲)

 

グローバルAIファンドポイント – 4つのオプション – 

グローバルAIファンドには、

  • 予測分配金提示型(年12回) or そうでないか(年1回決算)
  • 為替ヘッジなし or 為替ヘッジあり

という2つの要素のかけ算で4つのオプションが用意されています。

どれも同じマザーファンドに投資しますが、このオプションによってリターンが変わってくるので注意が必要です。

 

予測分配金提示のあり/なしについて

グローバルAIファンドには「予測分配金」の提示があるものとないものがあります。

予測分配金の提示があるものは、文字通り分配金があらかじめ提示されています。分配金の金額は基準価額に応じて決められています。

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参考:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド(予想分配金提示型)

一方の分配金の提示がないものは、年に1度の決算の度に委託会社が決定します。

 

一見すると、毎月分配金がもらえる「予測分配金提示型」の方がリターンがあるように感じる人も多いかもしれません。実際、それぞれの銘柄で過去5年間に支払われた分配金は以下の通りです。

 

分配金提示あり(毎月分配金が支払われる)

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参考:交付運用報告書|グローバルAIファンド(予想分配金提示型)

分配金提示なし(年1回の決算の度に決定)

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参考:交付運用報告書|グローバルAIファンド

 

年にもよりますが、予測提示があるものの方が、年間で10倍以上も分配金が支払われており、一見するとお得なようにも見えます。

ですが、分配金とはそもそもファンドの純資産を削って支払われるものであり元本を毀損しているに他なりません。

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参考:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド

 

実際、分配金として資産の一部を切り崩しているため基準価額も大きく下がってしまっています。

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参考:交付運用報告書|グローバルAIファンド(予想分配金提示型)

そもそも、投資・資産運用とは、投資によって得た利益を運用に少しずつ積み増していくことで、雪だるま式に資産を増やすことができる「複利」で運用することが何よりも重要であり、分配金というシステムはまったくおすすめできません。

目先の小銭に気を取られて、将来の大きなリターンを棒に振ってしまう、まさに愚策です。

 

分配金を再投資すれば同じような結果にはなりますが、手間もかかりますし、分配金として一度設定されているため税金面でもコストが増えます。

よほどの理由がない限りは、分配金などなるべく少ない(年1回決算の)予測分配金提示がないものの方がおすすめできます。

 

為替ヘッジのあり/なしについて

為替ヘッジとは、文字通り為替による影響をヘッジ(軽減)するかどうかです。

 

一般に、海外(外貨建て)の株式に投資する場合、為替の影響を受けるため、実際には株価以上にリターンが得られたり損をすることがあります。

為替が円安に動けば、ドルでの株価の変動以上に基準価額はプラスに動きますし、反対に円高になると基準価額はマイナスになります。

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このように為替の変動幅が大きければ、株価上昇以上の大きなリターンを得られる可能性もありますが、株価が上がっていても大きく円高に動いている場合その利益が帳消しになる可能性もあります。

こういった為替変動による影響を軽減する(限定的にする)のが「為替ヘッジ」です。為替ヘッジをすることによって、為替の影響を小さくすることができます。

 

ただし、為替ヘッジをする場合(ありのものを選ぶ場合)には注意が必要です。

まず初めに、完全に為替変動のリスクを回避できるわけではありません。海外の株式に投資する場合、少なからず為替の影響を受けることは覚えておきましょう。

次に、為替ヘッジにはコストがかかります。為替ヘッジコストは常に運用のパフォーマンスからマイナスになるので、リスクを回避できる代わりにリターンが小さくなることは覚えておきましょう。

為替ヘッジのコストは、その通貨間(例えばドルの場合、日本とアメリカ)の短期金利の差によって決まります。

世界中で低金利政策が続いていたため、日本とアメリカにも金利差はあまりなくヘッジコストは長らく低いまま抑えられてきました。

しかし、近年に入りアメリカが金利を上げる一方で、日本は低金利を維持しているため、二国間の金利差は広がり為替ヘッジのコストも高くなってきています。

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出典:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド

 

最後に、為替ヘッジをしてしまうと、当然のことながら円高のリスクを回避できる一方で、円安になった時のリターンの割り増しも受けることができません。

リスクを取り除く一方で、チャンスも逃す可能性があることも注意しておきましょう。

もし、現時点で自身の資産のほとんどが日本円建になっている人の場合、資産ポートフォリオ全体でのリスクヘッジを考えると、為替ヘッジなしの方がおすすめできます。

円とドル両方の資産を持つことでリスクヘッジになりますし、特に最近高騰しているヘッジコストを支払わなくて良いメリットがあるためです。

 

グローバルAIファンドに投資するメリット・デメリット

メリット

グローバルAIファンドに投資する最大のメリットは、ヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシー(Voya Investment Management Co LLC)という世界レベルの運用会社に間接的に投資を任せることができる点にあります。

 

一口に「AI関連企業」と言ってもその数は多く、具体的にどんな会社が優れているのかを評価するのは難しいでしょう。

目論見書にもあるように、独自のレーティング(評価)によって、世界中のAI関連株式の中から有力な銘柄を選定しポートフォリオを組んで運用されます。

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出典:投資信託説明書(交付目論見書)|グローバルAIファンド

 

仮に個人でAI関連企業に投資しようと思った場合、結局はネームバリューで選ぶことしかできず、評判の企業や人気の銘柄に集中してしまうことになりがちですが、グローバルAIファンドを利用すれば、世界的な運用会社が選定した銘柄に投資することができます。

 

また、AI関連企業を数多く組み込んだポートフォリオを組んでくれる点もメリットでしょう。

グローバルAIファンドの組み入れ銘柄明細

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参考:グローバルAIファンド【運用報告書(全体版)】

個人では難しいですが、このマザーファンドでは世界中(日本、アメリカ、韓国、フランスなど)から数十銘柄以上を組み込んでポートフォリオが組まれています。

これは個人投資家が簡単にマネできるものではありません。

 

デメリット

グローバルAIファンドに限らず、AI関連の投資全体には慎重にならざるを得ません。

確かにAI技術は発達しており、凄まじい成長を遂げていますが、それと株価は別問題です。

 

既に多くの方が注目しており、広く一般に認知されるレベルに至ったAI関連の銘柄は、投資家の間では既に「買い」が進んでおり既に十分に割高になっている可能性があります。

また、その伸び代に期待する成長産業への投資は、簡単に値下がりしてしまうリスクも高く、地政学リスクや金融政策の影響を大きく受ける可能性があります。

「AIがスゴイ=AI企業の株価が上がる」と短絡的に考えるのは注意が必要です。

 

グローバルAIファンドの実績・口コミなど

では、実際にグローバルAIファンドのこれまでの実績(パフォーマンス)を見てみましょう。

最新の1年間(2021年9月28日〜2022年9月26日)のパフォーマンスをみると以下のようになっており、1年間で20%以上も下落しています。

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参考:グローバルAIファンド【運用報告書(全体版)】

 

振り返って、ファンドの最近5年間(2017年〜2022年)のパフォーマンスを見てみましょう。

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参考:交付運用報告書|グローバルAIファンド

 

確かに5年前と比べて、基準価額は2倍以上に成長しています。

しかし、最高値を記録した2021年は、2017年の3倍近くまで価格を上げており(この頃は非常に評判でした)、その頃と比較すると、1年で25%近くも値下がりしているのが現状です。

 

グローバルAIファンドの評判についても調べてみると、ここ1年での暴落を受けてあまり良い口コミは見つかりませんでした。

ただ、初期から投資して資産が2倍前後になっている人は、売り時がわからず「また3倍まで戻るんじゃないか」という希望的な考えに振り回されているようです。

グローバルAIファンドのように「AI」などの特定の業種などに集中して投資するものを「テーマ型投資信託」と言います。

テーマ型の投信は、周りに先駆けて掴むことができれば一気に成長する可能性もありますが、ブームが来てからでは遅く、またブームが去ると一気に暴落する傾向があると言われているので注意しましょう。

 

グローバルAIファンドの評判を見ていると「損をしているが売ると損失が確定してしまうから、、、」という理由で、ダラダラと保有し続けている人を見かけます。

気持ちはわかりますが、今後回復する見込みが少ないものをいつまでも持っていてもなんの意味もありません。そんなのはただの現実逃避です。

特にテーマ型投信は売買のタイミングが重要なので、ダラダラとした長期保有には適していません。

一時の感情に左右されずに、冷静かつ合理的に、きちんと損切りして売却することも投資においては重要です。

特に投資初心者は、この判断と意思決定が上手くできずに(頭ではわかっていても実行に移せない)ズルズルと失敗するケースが多いので注意が必要です。

自分で運用する自信がない人は、プロに任せてしまうのもおすすめです。

⬇︎[初心者おすすめ]プロに任せるヘッジファンド⬇︎

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AIが世間でも注目されるようになり、多くの人が興味・関心を持つようになったのはここ1〜2年でしょうが、業界の有識者や一流の投資家は、その流れ(トレンド)が来るはるかに前から少しずつ仕込みを始めており、ブームがきた時には既に莫大な利益を手にしています。

これはAIに限らず全ての投資に共通していることです。

  • 一般の投資家:
    ブームに飛びつく → 既に高騰していて利益が得られない。
  • 一流(プロ)の投資家:
    これからブームになるものを見極めて先に投資する→ブームが来て値上がりしたとことで売却して利確

投資の世界では、評判を耳にしてから目をつけるようでは遅いのです。今後評判になりそうなものを、周りに先んじて見出してこそ、投資のチャンスが生まれます。

既に多くの人が興味・関心を持っていて、メディアなどで「今、これからAI業界がアツい!」などと言われているものは、投資の世界では乗り遅れていると考えてもよいでしょう。

既に評判になっており、広く注目されているものは「これから来るものではなく、既に来てる(値上がりしてる)もの」なので今から乗り出しても少し遅いかもしれません。

これはあくまでも「株価」に関する話です。AIに関連する技術やサービスは、今後ますます発展し、広く普及していくと思います。

また、既に当初の3倍近くまで値上がりしているAI業界株ですが、今後5倍、10倍と青天井に成長する可能性もないわけではありません。

AI関連企業の株の今後の成長については、AIサービスの発展の規模にかかっています。

 

まとめ – グローバルAIファンドはおすすめか –

ここまで見てきたグローバルAIファンドについてまとめておさらいします。

グローバルAIファンドとは

  • 全世界中のAI関連企業の株に投資する投資信託
  • 4つのオプションがあるが、ファミリーファンド方式なので大元の運用は同じ
  • 分配金の提示については「なし」のものがおすすめ
  • 為替ヘッジはアリ/ナシどちらでもOK
    為替ヘッジにはコストがかかるので、特に自身のポートフォリオが日本円に偏っている人は為替ヘッジナシがおすすめ
  • 直近のパフォーマンスは下落傾向(1年でマイナス20%)
  • AI事業に今後はあるが、株価については既に高騰済みか

このように見ていくと、グローバルAIファンドはよほどAI事業やその関連企業に対して強い思い入れや期待がある人にはおすすめできます。また、AI企業の中でも、アメリカや韓国、フランスなど、海外の会社を中心に投資したいという人にもおすすめできるでしょう。

一方で、「なんとなくよく耳にするAIに投資してみたい」という人にはあまりおすすめできないかもしれません。

「グローバル」「AI」というキャッチーなキーワードが使われているグローバルAIファンドは、一見するとこれから成長するような銘柄に思えるかもしれません。

ですが、今回見たように本質をきちんと見極めなければ、今後成長する銘柄を見つけ出すことはできません。

表面的な情報に左右されずしっかりと本質まで踏み込んで理解することがなによりも重要です。

 

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